マルクスの人間観
マルクス以前の哲学者は、人間観を、「理性的存在」、「自由意志を有する者」、「宗教的存在」と唱えました。
これらの人間観においては、人間が生物の一種であるゆえに、生物として生きるために食べなければいけないということを見落としていました。
ただし、その生きるための食べる方法というのが特徴的です。
というのは、自然にあるものをそのまま摂取するのではなく、道具を使用し、採取・生産・加工した上で食べるということです。
マルクスはここに注目し、人間とは「生産(労働)する存在」と定義づけました。
その生産においては、必要な「生産手段」としての道具など、その道具を使用するための「生産方式」が必要です。
それらは、本人が発明して、作製し、使用することはごく稀で、ほとんどの場合は、他者が発明し、作り出したものです。
ゆえに、人間による生産は、たとえ一人で従事していても、自ずと他人との協働になります。
すなわち、生産(労働)する存在としての人間の、その生産は他者の存在なくしては実現不可能です。
言い換えれば、人間は、他者の存在なくしては人間たり得ません。(生存できません。)
ゆえに、マルクスは「人間とは社会的諸関係の総体である」としました。